Amezariz Blog

アイドルプロジェクト「アメザリズ」の公式ブログです。

アメザリズ流タスク管理術 5:顔も知らない相手とのプロジェクト運用で気をつけること

どうも、アメザリズスタッフの Neo です。

メンバーが物理的に離れた地域に住んでおり、ほぼ全てのやり取りをオンラインで完結したアイドルプロジェクト「アメザリズ」。

前回までで、Slack の他に FigJam、Trello、Notion というツール群を導入して、イメージを固めていき タスクを可視化して 情報共有を円滑にできるように整備しました。

今回は、ツール導入後の「運用」についてお話したいと思います。

「運用はすんなり行かないモノ」と思っておく

実際のところ、今回導入したツール群は、無料版に登録しただけなので、始めようと思えば皆さんもすぐに真似することができます。導入自体はいたって簡単なのです。問題はその後の運用です。

どうしても個々人のスキル差や認識のズレだったり、本業が忙しくて時間が取れないなど、様々な理由があって、Trello にチケットが作られていないのに作業が始まっていたとか、Notion に「不必要になった情報」が残っていたりとか、綺麗に整ってはいない状態というのが時々発生していました。

こうした、事前に取り決めたルールからの逸脱は、放置すると「割れ窓理論」といって環境を汚すばかりになっていく引き金になりかねません。しかしだからといって、各メンバに口うるさく「ちゃんと整理して!!」などと注意して回るのも気が引けます。だいいち趣味で楽しくやろう、という集まりなので、仕事のようにカリカリして取り組みたくはなかったワケです。まずは皆仲良く楽しくやろう、というところを大切にしました。

Wiki の運用のところでも触れましたが、何のためにツールを導入したかという当初の目的に立ち返りましょう。「皆のやることが分かりやすくなる」ことだったり、「課題を可視化すること」だったり、そういったことが達成できれば、書き方なんてものはある程度どうでもいいことなのです。趣味の集まりですから、期限を切って厳密にスケジュール管理する必要もありません。分かりゃなんでもいい、ってことですね。運用はすんなり行かないモノだ、試行錯誤して苦労していくモノだ、と最初に思っておくと、少しは気が楽になると思います。

機嫌は気にしてみた

今回、「期限」は特にないプロジェクトでしたが、チームメンバーの「ご機嫌」というモノには、個人的には敏感になりました。

僕は職業エンジニアの中でも物事をハッキリ言ってしまうタイプの嫌な人間なので (苦笑)、普段の仕事だと「業務上必要なことだから」とズバズバ物申してしまうことが多かったです。それを言われた側の気持ちなんて気にしていませんでしたし、「仕事なんだから感情に左右されずにやれよ」ぐらいに思っているタイプでした。個人間で根回しのような会話をしてしまうと記録が残らず、チームで足並みが揃えられないために、必ず議事録として記録が残る場面でのみ会話をする、といったことも、業務上その方が良いだろうから、という思いからあえてそのようなやり取りを徹底していました。

しかし今回の場合、まずアメザリズの活動は「皆仲良く楽しくやろう」がモットーでしたし、アメザリズのメンバーは本業も年齢も性別もバラバラです。よくある SE 業界とは異なり、特に女性陣が多いグループでもありました。融通の利かない男性エンジニアが、女性陣に対して正論を振りかざすなんて、なおさら見るに堪えません。

というワケで、僕は業務ではあまり使用しないのですが、個人とのダイレクトメッセージというモノをうまく使ってみました。Trello で名指しして「やっといてください」と書くのではなく、Slack の DM で「最近いかがですか?元気にやってますー?」なんて挨拶から入ってみたりして、なるべく丁寧なやり取りを心掛けました。

当方日頃の素行が良くないクソ SE ですので、丁寧なつもりの DM が逆に気持ち悪く思われたかもしれませんが、結果的には Slack DM によって作業はスムーズに遂行できたかなーと思っています。使うツールに拘りすぎたり、一度決めたルールを守ることに躍起になったりしていたら、円滑で楽しいアイドル製作にはならなかったと思います。

期限はやっぱりあった方がいい

プロジェクト発足当初は、本当にビジュアルイメージやコンセプトが何も定まっていない状態でしたので、「いついつまでにデビュー曲を発表しよう!」なんて話は到底できませんでした。何を作るかも定まっていなかったワケですから。

それでも作詞・作曲が始まり、VRoid アバターを試行錯誤して作っていく中で、個々人の生活・仕事の忙しさや体調によって作業が遅々として進まず、ズルズルと時間だけが過ぎていくタイミングがありました。

そこで、最終的な「DEATH!DEATH!です。」のリリース日を先に決め、そこから逆算して各タスクに締切日を設けることにしました。繰り返しになりますが、あくまで趣味で集まっているグループですので、締切日を超過したところで別に損失も何もないですし、工数見積とかもしていないので根拠のない締切日ですが、コレにより「何も進捗がないままズルズルと時間が過ぎる」ことはなくなりました。進んでいる・いないに関わらず、定期的な進捗報告がもらいやすくなったと思います。

中には逆に「締切日に対するプレッシャー」を感じてしまうメンバーもいましたが、その場合はお願いしているタスク自体を違う構成にするなどして対処し、締切を過ぎても特段問題がないことが分かってもらえると、気を楽にして取り組んでいただけたりしていました。

仕事と違って「ズラせる期限日」でしたが、それでもないよりはあった方が良いのだと、作業の流れを見ていて感じました。

さいごに・まとめ

そんなワケで、途中から目標に据えた 2024-04-18 に、無事「DEATH!DEATH!です。」の MV 公開、および Bandcamp での楽曲リリースにこぎつけることが出来ました。

プロジェクトが発足した 2023-11-28 から換算すると、総製作期間は143日。おおよそ5ヶ月の間、コンセプト検討に始まり、音楽製作から 3D アバター製作、そして MV 製作と、皆で様々なタスクをこなしてきました。

改めて、使用したツールと主な役割をまとめておきましょう。

  • Slack : 議論の開始点、DM での根回し
  • FigJam : ホワイトボードによるイメージの共有
  • Trello : タスクやその状況の可視化
  • Notion : 決定事項をまとめる Wiki

Slack の混沌としたやり取りのログ、FigJam に残る激しい議論の痕跡、Trello でアーカイブに回せた完了タスクの一覧、Notion に一言決定事項を書くために実は苦労していた裏側などを思うと、全てのデータが輝かしく、誇らしく見えてきます。思い出にバックアップは取っておきましょうね。w

Wiki の構成設計や運用の過程で参考になりそうな考え方、指標についてもいくつかご紹介しました。「情報は一元管理する」「単一責務の原則」「YAGNI 原則」、このあたりは非エンジニアの方々のお仕事にも通じるモノがあると思いますので、何かのご参考になればと思います。

オンラインだけの繋がりで、顔も住所も知らない方々と、「楽しく協力してタスクを遂行しよう」という経験は、僕は今回が初めてだったので、人と人との関わり方で学ぶことが多かったです。仕事の同僚とかにも、もうちょっと優しくしようかな…とか思い始めました。w

今回の取り組みは、デビュー曲「DEATH!DEATH!です。」のリリースをもって一区切りしましたが、アメザリズとしての活動は今後も何かしら続いていきます。今後の活動でまた何か発見がありましたら、知見を共有していきたいと思いますのでお楽しみに!

それでは!!